分子科学研究所の概要 65
2-15 エクストリームフォトニクス
平成17度から理化学研究所との連携融合事業として「エクストリーム・フォトニクス」を行っている。「光を造る」,
「光で観る」,「光で制御する」という3つの観点から,両研究所で相補的にレーザー光科学のより一層の進展を図ろ うとするプログラムである。分子研側からは,「光を造る」という観点から
「光波特性制御マイクロチップレーザーの開発」(平等)
「新複合フッ化物の真空紫外発光デバイスとしての探索と新 V UVフェムト秒光源の実現」(猿倉),
「光で観る」という観点から
「時間・空間分解分光による固体表面・ナノ構造物質表面における反応研究」(松本)
「エクストリーム近接場時間分解分光法の開発」(岡本)
「タンパク質立体構造に基づく機能性発光分子の開発と生体機能解析システム」(小澤),
「光で制御する」という観点から
「アト秒コヒーレント制御法の開発と応用」(大森)
「紫外強光子場による反応コヒーレントコントロール」(菱川)
「高強度極短パルス紫外光を用いた超高速光励起ダイナミックスの観測と制御」(大島) の合計8課題を選定し,実行に移している。
両研究所の研究打合せや成果報告のため,本年度は,4月に理化学研究所にて第3回理研・分子研合同シンポジウ ムを開催した。このシンポジウムでは特に「エクストリーム波長の発生と応用」をテーマとし,テラヘルツ光やフェ ムト秒X線の発生と利用について議論した。さらに,11月には「コヒーレント光科学」を主題とした第4回の研究 会を行い,この方面における所外の研究者にも講演を依頼し,より突っ込んだ議論を進めた。また,このプログラム を中心に所内に日常的な議論の場としての光分子科学フォーラムを設け,光分子科学の進展を図っている。